
先日、伏見稲荷大社を参拝している時に稲荷山へ続く階段の下で車椅子の人を見かけたんですね。外国からの観光客のようでした。

そうか…車椅子やったらここまでしか進めへんのか…
今回は「車椅子で伏見稲荷大社をもっと快適に参拝できるようにするためのバリアフリー案」をまとめました。
公共施設や商業施設ではバリアフリー化がどんどん進んでいますが、寺社仏閣は対策が取りにくいのが実情です。
ですが、「アイディアを出し合えば今より快適な環境をつくることができるかも!? 」って思うんですよね!
目次
はじめに
以前、車椅子で大阪城を1周するのにかかる時間の検証に参加させてもらったことがあり、車椅子にとってはわずか数cmの段差であっても非常に大きな障害物になるということを体感しました。

車椅子にとっては少しの段差も大きな障害物に!
この記事を書いている時点で、わたし自身は車椅子ユーザーではありません。家族も車椅子を使っていないので、わたしは日常的に車椅子のある生活に接しているわけではありません。
それにわたしは車椅子をはじめとした福祉用具の知識、あるいは建築土木の知識はまったくありません。この記事で紹介しているのは「もしもここがこうなったら車椅子が快適に進めるかも!? 」というアイディアです。
なので、専門家が見れば「それは無茶や」とか「工事費用がいくらかかると思うんや」みたいなこともあると思います。
もしかすると、わたしの意思に反してだれかを傷つけるような言いまわしをしているかも知れません。
お気づきの点やご指摘がありましたら、お問い合わせページ、Twitterからお願いします。
車椅子で伏見稲荷大社を参拝できる範囲
まずはじめに2017年5月時点で、車椅子で参拝できる範囲やバリアフリーの状況を紹介しますね。
車椅子で参拝できる範囲
正直なところ伏見稲荷大社の境内はバリアフリー化が進んでいるとは言いがたいのが実情です。
伏見稲荷大社は稲荷山の麓にあるのでもともと坂道が多い場所なんですね。本殿よりも先は神社の境内と言うよりは山の中をイメージした方がわかりやすいと思います。
現在、車椅子で参拝可能な範囲や見どころはこんな感じです。
- 表参道(第一鳥居〜第二鳥居)
- 楼門
- 外拝殿
- 本殿・内拝殿の周辺
- 祈祷受付所(伏見稲荷大社の御朱印)
- 裏参道
伏見稲荷大社の境内駐車場を利用すれば第二鳥居・楼門の近くまでクルマで行くことができます。

伏見稲荷大社の第二鳥居と楼門
バリアフリーの状況
JR奈良線「稲荷」駅の改札の目の前から続く表参道はきれいに舗装されているので、坂道ではありますが車椅子もスムーズに移動できます。

伏見稲荷大社の表参道
伏見稲荷大社は第一鳥居→第二鳥居→楼門→外拝殿→内拝殿→本殿が一直線に並んでいるレイアウトなんですが、真っ直ぐに進むと階段を上がらないといけません。
階段を回避するための坂道が2ヶ所あります。
まず楼門の北側(楼門に向かって左手)の階段にある坂道です。

楼門の北側の階段
この坂道を上がると見えるのが外拝殿で、奥に内拝殿が見えていますね。本殿は内拝殿のさらに奥に隣接しています。

外拝殿・内拝殿への参道
内拝殿の前にも階段があるので、車椅子で向かう場合最初の坂を上がってそのまま真っ直ぐに進みます。
ここが階段を回避する2つ目の箇所です。祈祷受付所と社務所の間の参道に車椅子が通れるスロープが設けられているんです。

祈祷受付所の北側の階段
祈祷受付所を回り込むように進みます。

祈祷受付所をまわり込む
この左側にあるのが内拝殿です。伏見稲荷大社の参拝はこちらで行います。

左手に見えるのが内拝殿
伏見稲荷大社で有名な千本鳥居は本殿よりも先…つまり稲荷山の中にあるんです。
伏見稲荷大社および公共交通機関のトイレ
伏見稲荷大社の境内やJR奈良線「稲荷」駅、京阪「伏見稲荷」駅のトイレに関する情報はこちらの記事でまとめています。
車椅子で伏見稲荷大社をもっと快適に参拝できるようにするためのバリアフリー案
車椅子で伏見稲荷大社を今以上に快適に参拝できるようにするためにはどうすれば良いのか、わたしなりにアイディアを出していきます。
内拝殿・本殿までの参道の修繕案
現在バリアフリーになっているように見える箇所も改善の余地があると思うので、その箇所から説明します。
外拝殿への坂道
楼門前の第二鳥居から外拝殿へ車椅子で行くには楼門の北側(楼門に向かって左側)にある坂道を利用します。

楼門の北側の階段
ですが、この坂道は車椅子のためにつくられたのではなく車両が通るための道です。
例えば、稲荷祭の時にお神輿を載せたトラックが通行するんですね。

稲荷祭ではトラックが通行する
わたしはここを車椅子で上がるのはちょっと危険だと感じました。車椅子で通行するにしてはあまりにも勾配がキツいなと。
国土交通省の「建築物移動等円滑化誘導基準チェックリスト」を確認すると「傾斜路」についてはこのようなチェック項目がありました。
傾斜路
- 幅は150cm以上(階段に併設する場合は120cm以上)であるか
- 勾配は1/12以下であるか
- 高さ75cm以内ごとに踏幅150cm以上の踊場を設けているか
- 両側に手すりを設けているか (高さ16cm以下の傾斜部分は免除)
- 表面は滑りにくい仕上げであるか
- 前後の廊下等と識別しやすいものか
- 点状ブロック等の敷設 (傾斜部分の上端に近接する踊場の部分)
- 上記①から③は車いす使用者の利用上支障がない部分については適用除外
「勾配は1/12以下であるか」というのがパッと想像がしにくいですね。国土交通省が発行しているバリアフリー法に関するパンフレットにイラストが載っているのですが、病院や公共施設の入口にあるスロープを思い浮かべてもらうとわかりやすいと思います。
勾配を緩やかにするには素人が見てもめちゃくちゃ大がかりな工事になるのはわかるので、現実的ではないと思います。
なので、せめて車椅子が通行しやすいような舗装にし直すべきかと。
本殿・内拝殿への通路
祈祷受付所の北側にある通路です。

祈祷受付所の北側の階段
わたしも車椅子を押させてもらう体験をしていなければ、もしかしたらなにも気がつかなかったかも知れません。
手前の参道とスロープの間が砂利になっているんですよね。ここはスムーズに移動できるように修繕した方が良いよな〜と思います!
車椅子で千本鳥居へ行けるようにするための修繕案
伏見稲荷大社は大きな鳥居やきつね像、迫力のある楼門、本殿をはじめとする重要文化財などたくさんの見どころがあります。

楼門前のきつね像
これらは車椅子で参拝できる範囲でも観ることはできます。
ですが、わたし自身は伏見稲荷大社の魅力は稲荷山へ続く無数の鳥居や神蹟をめぐることにあると思っています。
さすがに車椅子で稲荷山をめぐるのは不可能ですが、国内外からの多くの人々が感嘆の声をあげる「千本鳥居」は車椅子でも行けるようになれば良いなと思うんですね。

伏見稲荷大社の幻想的な千本鳥居
とは言うものの、本殿から千本鳥居までは角度のある階段を上らないといけません。
この階段を車椅子でも通れるように施工するのはちょっと無理があるのはわかります。

千本鳥居へ続く参道の階段
やっぱり車椅子だと千本鳥居へは行けないのか。あの幻想的な体験をしてもらうことはできないのか。
そこで地元民がひらめきました!!

このコースならなんとかなるかも!?
車椅子で千本鳥居へ行くためのコース
わたしが思いついた車椅子で千本鳥居へ行くコースの全体像はこちらです。
- 裏参道をスタート
- 石の鳥居を左折
- 2本目の道を右折し坂を上がる
- 八島ヶ池(お産婆池)を右折
- 伏見稲荷山大社の境内へ
- すぐに左折し稲荷山への道へ
- 千本鳥居へ
コースのポイントを順番に解説していきますね。
裏参道は表参道に比べてフラットな路面ではないですね。飲食店やお土産物屋さん、屋台が並んでいるので車椅子での通行も容易ではありません。

伏見稲荷大社の裏参道
裏参道の途中にある石の鳥居の手前を左折します。伏見稲荷大社の境内は階段が多いので、住宅街から回り込むんです。

石の鳥居の手前を左折
2本目の道路を右折します。

この先を右折
伏見稲荷大社の境内のように階段はありませんが、その代わりに坂道を上がることになります。

稲荷山へ向かって坂道を上がる
坂を上がったところに「八島ヶ池」(お産婆池)があります。この写真の右側にある白い壁のところを右折します。

坂道を上がったところで右折する
この道を真っ直ぐ進むと伏見稲荷大社の境内へ入れるんですが…

左に見える垣根の奥が「八島ヶ池(お産婆池)」
この参道にもやっぱり階段があります。

この参道にも階段がある
もちろんちょっとした段差であったとしても車椅子で通過するのが困難なことはわかっていますが、ほかの階段に比べると1段1段の高さは決して高くはありません。
1段あたりの高さ約4cm×奥行き約40cmの階段が22段あります。

ほかの階段に比べると段差は低い
ほかの階段はともかく、この階段は車椅子が通りやすいように修繕工事をすることもできるのではないでしょうか!?
この階段を通過したところで、すぐに左折してください。入口にきつね像があるのでわかりやすいです。

入口にきつね像がある参道
この道は稲荷山の山頂に向かう道で、「京都一周トレイル」の東山コースの一部にもなっています。

稲荷山・神田への参道
入口にあったきつね像から十石橋(朱色の橋なのですぐにわかります)までは舗装がされていない道なので、車椅子での通行はかなり困難だと思います。

舗装されていない道
左手にある十石橋は渡らずにそのまま真っ直ぐに進みます。ここから先は舗装されている道なので、車椅子でも通行しやすいです。(坂道ですが…)

ここから先の道は舗装されている
この先に見えているのが千本鳥居の入口付近です。たくさんの人が集まっているのですぐにわかります。

この先に千本鳥居がある
日中はたくさんの観光客でにぎわっており、記念写真を撮ったりするので混雑していますが、早朝であればこんな写真を撮ることもできるんですよ〜。

伏見稲荷大社の幻想的な千本鳥居
この記事のまとめ
今回は「車椅子で伏見稲荷大社をもっと快適に参拝できるようにするためのバリアフリー案」をまとめました。
千本鳥居までのルートは車椅子に乗っている人、介助の人にとって困難な道だと思いますが、伏見稲荷大社の魅力のひとつである「千本鳥居」もぜひ見てほしいなと思うんですよね
伏見稲荷大社だけでなく、特に神社やお寺を完全なバリアフリーにするのは不可能かも知れません。
ですが、「できること」もまだまだ残されていると思うので、たくさんの人ができる限り多くの場所を参拝できるようになれば良いなと思います。
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伏見稲荷大社へのアクセス・駐車場の情報についてはこちらをご参考に。
車椅子の場合は境内駐車場を利用するのが一番です。公共交通機関ならJR奈良線「稲荷」駅がおすすめです。

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