たった1個のきびだんごで従業員に鬼と死闘までさせた桃太郎の話。

ごりら

こんにちは! ごりら@goriluckey)です!!

誰もが知っている昔話『桃太郎』。おじいさんとおばあさんに育てられた桃太郎が鬼退治をし、奪われた宝物を取り返して幸せに暮らすというストーリーでしたよね。

今回は『桃太郎』が「ブラック企業」だったらという観点で物語を描いてみました!

洗脳は説明会に参加した時から始まっていた!

毎年春先になると多くのイヌやサル、そしてキジたちが真新しいリクルートスーツに身を包み、「昔話訪問」をする姿が見られます。近年、複数の鬼ヶ島に攻め入り、続々と宝物を奪還している『桃太郎』は成長著しく、イヌやサル、キジにとっても「参加してみたい昔話ランキング」で上位の昔話です。

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『桃太郎』が主催する「昔話説明会」では集まったイヌ、サル、キジたちに桃太郎の魅力あふれる動画が放映されるんです。

その動画の冒頭では山へ柴刈りに出かけるおじいさんや川へ洗濯に行くおばあさんの姿が映し出されます。巨大なスクリーンに映されるおじいさんやおばあさんのようすは今の桃太郎からは想像もできない質素な印象を与えます。

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あえて過去の質素な生活を見せることによって、イヌ、サル、キジにどんなことでも本気でやれば上手くいくというサクセスストーリーを刷り込んでいるんですね。

心に突き刺さった、鬼退治という社会貢献

『桃太郎』制作の動画をひと通り見終わると、今度は桃太郎自らが『桃太郎』の存在意義について語り始めます。

「いっしょに鬼退治に出かける仲間一人ひとりが力を合わせることで、例え自分たちよりも体が大きな鬼であったとしても退治することができる。そして、鬼を退治することによって多くの村人たちが幸せな生活を送ることができるようになる。一人でも多くの村人の笑顔が見たいから私たちは必死で鬼退治をしているんです!!」とイヌ、サル、キジに熱く語りかける桃太郎。

桃太郎のお供になりたいという多くのイヌ、サル、キジはその志望動機に「人を笑顔にする仕事がしたい」と書く傾向が強いようです。

報酬は、きびだんご

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今ではすっかり有名になった「お腰に付けたきびだんごをひとつくださいな。」というセリフ。鬼ヶ島へ出発する前にはイヌ、サル、キジが一列に並び、桃太郎に向かって大声で3回発声している姿がたびたび目撃されています。

お腰に付けたきびだんごをひとつくださいな!

お腰に付けたきびだんごをひとつくださいな!!

お腰に付けたきびだんごをひとつくださいな!!!

この発声を行なうことによる効果は大きくふたつあります。

ひとつはチーム全体の連帯感を高めること。

もうひとつはきびだんごという報酬をもらう対価として『桃太郎』に対して労働を提供するということを徹底的に叩き込むこと。

イヌというスター選手の存在

桃太郎の巧みな人心掌握術に「信賞必罰」と「階級制度」があります。実はイヌ、サル、キジの中では最古参で功労の多いイヌの評価が高く、イヌだけは桃太郎印のドッグウェアを着用しているのです。

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実は明らかに扱いの違うイヌはサルやキジに対して高圧的な態度を取ることもあります。

そのためサルやキジにとってイヌは厄介な存在ではありますが、同時に「自分もがんばればイヌのようになれるかも知れない!」という憧れの存在でもあるのです。

この階級制度があるからこそイヌ、サル、キジに競争原理が働き、それぞれの鬱憤が桃太郎に対して向けられることが無くなるのです。

サルの失敗

桃太郎は成果を上げた者に対しては少し大きめのきびだんごを与えることで評価をします。一方、成果が上がらない場合は徹底的に罰を与えるんですね。

以前にサルがちょっとした失敗をし、『桃太郎』に対して大きな損害を与えてしまったことがありました。

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桃太郎は大激怒し、イヌやキジが見ている前で徹底的にサルを罵倒したんです。それは決して村人の前では見せることのない桃太郎の真実の姿。

「何のためにきびだんごを与えていると思ってるんだよ! あぁ〜!? こんな働きしかできないんだったら、きびだんごの量を減らすしかないわな〜。」

「てめぇは『桃太郎』のサルで良かったと思わねぇのか? てめぇみたいなやつは『さるかに合戦』行ってもらっても良いんだよ? あっちはウスに踏まれんぞ、おらぁぁあ! 」

イヌやキジの目の前で罵倒され続けることでだんだん自信が無くなり、サルはすっかり自我を失ってしまいました

過酷な24時間勤務が判断力を奪っていく

イヌ、サル、キジが『桃太郎』に洗脳されていく過程に過酷な労働環境があったことも見過ごせません。当然と言えば当然ですが、鬼ヶ島への行程は管理者である桃太郎が自ら同行しています。

つまりイヌ、サル、キジは桃太郎によって24時間体制で監視されていることになります。一時も休まることがない労働環境のため、徐々に正常な判断力が奪われていくんですね。それは拷問のようなものです。

鬼ヶ島へ到着するころには絶対的君主・桃太郎ができ上がっており、イヌ、サル、キジは桃太郎の命令に対して忠実に動くようになっているんです。

「倒した鬼の数No.1には桃太郎賞! 」目の色を変えた鬼ヶ島の死闘!

鬼ヶ島へ到着すると早速鬼たちが酒盛りをしているアジトへ向かいます。ただでさえ巨大な体で威圧的な鬼たちがお酒の力を借りてさらに凶暴になっているではありませんか。

桃太郎の指示には絶対に従うイヌ、サル、キジもさすがに尻込みをしています。そんな時に桃太郎が声高に提示するのは「桃太郎賞」という名の褒賞です。

「この戦いで倒した鬼の数が一番多い者には桃太郎賞を贈呈する!!! 」

戦闘が始まると桃太郎はイヌ、サル、キジそれぞれが倒した鬼の数をグラフに記入した旗を振り回し、鼓舞します。

宝物よりも大切なもの

桃太郎賞をかけてイヌ、サル、キジが退治した鬼の数を競い合うことで、次から次へと鬼を退治していきます。いくら強靭な肉体を誇る鬼と言えども勢いづいた桃太郎軍団の前ではなす術がありません。

もはや鬼の親分を退治するのにもそれほど時間はかかることなく、イヌ、サル、キジは鬼たちから宝物を取り戻すことに成功しました。イヌ、サル、キジはクソ重たい宝物を台車に積み込み、協力しながら台車を押し、桃太郎の家まで宝物を持ち帰ることに成功しました。

力を合わせて取り戻した宝の山ですが、これらはもちろん全て桃太郎の所有物となります。イヌ、サル、キジにとって大切なのは宝物ではなく、平和になった村の人たちの笑顔! 鬼退治をすることによって成し遂げた自己実現! 第三者が聞くとおかしな話も、桃太郎によって洗脳されているイヌ、サル、キジが疑問を感じることはもはやありません。

次から次へと鬼ヶ島を開拓し、その度に巨万の富を築いていく『桃太郎』。

桃太郎はたった1個のきびだんごをイヌ、サル、キジそれぞれに与えるだけで凶悪な鬼と死闘をさせ、宝物を手に入れているのです。巧妙な手口で洗脳し、取り返した宝物は独り占め。

これこそが『桃太郎』という昔話の裏側の話なのです。

この記事のまとめ

今回は昔話『桃太郎』に隠されたブラック企業の源流とも言うべき劣悪な労働環境に迫ってみました。桃太郎におけるブラック企業に通じるポイントは以下の通り。

  • 労働に対してあまりにも安価な報酬(きびだんご1個)
  • 鬼退治という社会貢献を盾に重労働に目を向けさせない洗脳
  • 管理者による24時間監視
  • 鬼から取り返した宝物という利益も従業員に分配されない

もしもあなたが『桃太郎』のイヌ、サル、キジと同じような労働環境で働いているのであれば、無理せず新しい職場を探してみるのも良いのではないでしょうか。