[就職氷河期の記憶]わたしが見た20年前の印刷業界はブラック体質だった!

ごりら

こんにちは! ごりら@goriluckey)です!!

今のように「ブラック企業」という言葉がまだ存在しなかった2000年代のはじめにわたしは新卒として就職しました。

わたしが入社したのは中堅の印刷会社。

もちろんその会社もブラック企業と言っても良いぐらい香ばしいにおいがぷんぷんしていましたが、わたしは印刷業界そのものが「ブラック業界」だと思っています。

今回は「わたしが印刷業界がブラック体質だと感じた4つのポイント」を紹介します。

もちろん今と2000年代の前半とでは労働に対する考えやビジネスツールも全然違うので、もしかしたらわたしのブラック体験も今では過去の遺物になっているかも知れません。

ですが、印刷業界の本質的なところは変わっていないんじゃないかなーと思っています。この記事は少しでも就職活動・転職活動をしている人の参考になれば良いなという思いで書いています。

あっ! これは先に伝えておかないといけません!!

この記事では印刷業界のブラックな部分にフォーカスしていますが、わたしは印刷会社での仕事は嫌いではなかったんですよ。(←信ぴょう性は無いと思いますけど本音です! )

印刷業界は「ブラック」に陥りやすい!?

まずはじめに「ブラック企業」の定義を確認しておかないといけませんが、言葉としても比較的新しいですし、人によってもとらえ方が変わるのかも知れませんね。

わたしは『ウィキペディア』に書かれているこの部分が「ブラック企業」の説明としてわかりやすいかなと思います。

ブラック企業

近年では労働基準法や関連法令を無視し、あるいは法の網や不備を悪用して従業員に長時間労働やサービス残業などを強制する企業を主に指す。

出典: 『ウィキペディア

わたしが働いていた会社も待遇は良くありませんでしたが、ブラックな待遇は印刷業界全体の課題だと思います。

  • サービス残業
  • 長時間労働
  • 休日出勤
  • 低賃金

印刷業界の待遇が良くならないポイントをあげていきますね!

[1]印刷業界は下請け産業

大手印刷会社であろうと、そもそも印刷業界そのものが下請け産業なんです。

印刷物が必要になるのがどんな時かって考えるとわかりますよね。

  1. 新しいお店ができる
  2. 集客するためにチラシをつくる

  1. 新しい商品が発売される
  2. パンフレットをつくる

  1. 小説家が執筆をする
  2. 本にする

どれだけすごい技術を持っている印刷会社であっても、どれだけ安く提供できる印刷会社であっても、(1)が無いとことには印刷物の需要が生まれないんですよね。

(1)ではないということは印刷業界に主導権が無いということ。

例えば4月に発売される新商品のパンフレットの受注が決まっていて、売上として見込んでいても、その商品の発売が延期になったり中止になったりすると見込んでいた売上は簡単に吹き飛んでしまいます。

営業マンがいくらがんばってもその商品が発売されない限り、印刷会社は商売になりません。

売上が上がるかどうかが他者に委ねられているわけですから、立場が弱くなるのは仕方ないですよね…

印刷業界に限らずビジネスの上流にない業界で働く場合には同じことが言えます。

[2]競合する印刷会社が多い

単純な仕様の印刷物であればあるほど、競合する印刷会社はめちゃくちゃ多くなります。

  • 名刺
  • ポストカード
  • ポスター
  • チラシ
  • パンフレット

ふつうの紙に印刷して、ふつうに仕上げるだけの印刷物は、まあ、どこの印刷会社でもできるんですね。

一般的な仕様の印刷物を複数の印刷会社で競合するといかに安い価格で印刷するかという争いにやってしまいます。

何万枚、何十万枚、何百万枚の印刷物の見積もりって1円以下の単位で競争するんですよ! 例えば「1.68円」とか「1.65円」とかそんな攻防が繰り広げられるんです。

どの会社が受注したとしても印刷業界に落ちるお金は1円以下の単位で少なくなる一方です。

で、わたしが働いていた印刷会社では収益性の低い案件は下請けの印刷会社へ発注していたんですね。一時的に自社の収益は確保されますが、こんなやり方が印刷業界にとって良いわけがありません。めちゃくちゃ不健全です。

印刷会社の従業員の給料が上がるわけがありません…

[3]納期のシワ寄せが印刷会社に!?

価格の次に印刷会社が差別化できるのは納期でした。

「いつもお願いしている印刷会社は1週間で納品してくれる。」と言われると「うちは5日で納品できます! 」となるわけですね。

もちろんその会社が保有している設備によって納期が短縮できることもあると思います。それであれば従業員に負担がかかることはありません。

ですが、わたしが経験したのは従業員に思いっ切り負担がかかる方法でした。

それまでの印刷会社が印刷するためのデータを翌日に受け取っていたとすると、翌日ではなく深夜にデータを受け取るんです。そうすれば他社よりも早く納品することができますからね…

この場合は「自爆」みたいなものですが、そもそも納期については印刷会社にシワ寄せが来ることも多かったですね。

例えば発行日が決まっているフリーペーパーの場合、納品日は絶対にずらせないですよね。

納品日から逆算してスケジュールが組まれているので、印刷データを入稿する日も決まっているわけです。

ですが、ギリギリで内容が変わったり、ページの構成が変わったりでデータ入稿が遅れることがよくあるんですよね。

入稿が遅れたからと言って納品日をずらして良いというわけではありません。万が一納期に間に合わないなんてことがあれば、その仕事は次から別の印刷会社に発注されるんですよ…。

「いつもお願いしている印刷会社の納期が1週間ならうちは5日で納品します! 」と営業をかけている印刷会社があるからです。

結局、印刷業界が自ら首を絞めることになるんですよね…

[4]印刷業界はクレーム産業?

受注〜納品までの工程だけでもブラックな要素がたっぷりな印刷業界ですが、印刷業界の立場の弱さを痛感するのが納品後のクレームです。

印刷物ってその気になれば簡単にクレームをつけることができてしまうんですよね…

わたしが印刷業界にいた約20年前は「色校正」という工程がありました。

PCのモニタで見る色目とプリンタで出力した色目って違いますよね!? プリンタで出力した色目と工場の印刷機で印刷した色目もやっぱり違うんですよ。

色校正は工場での印刷に“近い状態”で印刷をして、仕上がりのチェックをする工程なんです。

印刷オペレータは色校正を色見本として印刷をするので、基本的には近い色として仕上がります。

でも、完全に同じではないんですよね。

それに大量に印刷する場合は最初の方に印刷したものと最後の方に印刷したものを比べても色目は違います。ほら、ふつうのプリンタでも色目は変わるじゃないですか!?

ふつうはお客さん側も「許容範囲」を理解しているんですが、時々現れるんですよ…モンスターが!!

担当者がモンスターの場合もありますし、担当者の上司がモンスターで担当者も抑えきれなかった…みたいなこともあります。

モンスター

ここの色目が違いますよね。刷り直してください。

それができないなら、料金を下げてもらえますか。

ごりら

(こいつ………な、なに言うてるんや………??? )

さすがにここまでのモンスターに出会うことは滅多にありませんが、仕上がりに関するトラブルは日常茶飯事でした。

確かに印刷物が仕上がった時の感動もたくさんありましたが、クレームのダメージですり減っていく人が多かったですね。

この記事のまとめ

今回は「わたしが印刷業界がブラック体質だと感じた4つのポイント」を紹介しました。

わたしが新卒で入社した会社の同期はほとんど退職してしまいました。ですが、実は別の業界へ転職してから、再び印刷業界へ戻った同期もいるんですよね。

わたし自身もツラい思い出はあるものの、(冒頭でも言いましたが! )印刷会社での仕事は楽しいこともあったんですよ!

わたしが印刷業界を離れた約20年の間に、ITによって印刷業界のブラック体質が改善されたこともあると思います。反面、スマホ・タブレットの普及によって紙媒体を使ったプロモーションが減り、電子書籍化が進んだりもしています。

もしも印刷業界への就職・転職を考えている人がいるなら、会社の大きさよりもほかの印刷会社とは違う差別化ポイントがたくさんあるかどうかを確認した方が良いでしょう!

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