車椅子で大阪城公園を1周するのは超大変! 思いもよらないことがとんでもないハードルに!

車椅子にとっては少しの段差も大きな障害物に!
ごりら

こんにちは! ごりら@goriluckey)です!!

ブログのオンラインサロン「ヨッセンスクール」で知り合ったショウゴさんのお手伝いでとても貴重な体験をすることができました。

今回は「車椅子で大阪城公園を1周して感じたこと」について。

今の世の中は車椅子に乗る人にとってめちゃくちゃ大変なことがいっぱいあるんです!

目次

車椅子で大阪城公園を1周してみよう!

わたしは以前にもショウゴさんが主催したブログの企画に賛同して記事を書いたことがあります。

それは「RDD(Rare Disease Day・毎年2月末に世界で同時に開催されるイベント)に合わせて希少難病の当事者ではない人も希少難病のことを考えてみよう! 」という内容の企画でした。

今回は車椅子に関するある検証をするのが目的だったんですね。

検証の内容

ショウゴさんが検証しようとしたのは「Googleマップで表示される目的地までの到着時間が車椅子の場合だとどれぐらい違うのか」というものでした。

Googleマップはクルマで移動する場合、電車を使って移動する場合、徒歩で移動する場合の3パターンで到着時間の表示がされますが、車椅子での移動は表示されません。徒歩と比べてどれぐらいの違いがあるのかを実際に測定してみようという検証です。

  • 日にち: 2016年11月26日(土)
  • 時間: 14:30〜17:00
  • 天気: くもり
  • 場所: 大阪城公園
大阪城公園を車椅子で1周する
大阪城公園を車椅子で1周する

検証の参加者

この検証はショウゴさんのブログ『筋ジスですがなにか?』で参加者を募集され、応募された方の協力で実現しました。

ショウゴ さん

ショウゴ さん

今回の検証の企画者。自身もベッカー型筋ジストロフィーであり、難病当事者の生き方のロールモデルになることを目指してブログを運営されています。

ショウゴさんのブログ: 『筋ジスですがなにか?

ぐれいす さん

ぐれいす さん

ショウゴさんのブログを見て応募された参加者。「先天性肢端紅痛症(せんてんせいしたんこうつうしょう)」という日本で数名しか確認されていない希少難病を患い、車椅子で生活されています。

ぐれいすさんのブログ: 『ぐれいす@肢端紅痛症を広め隊

めいたく さん

めいたく さん

めいたくさんは長く福祉関係の仕事に就かれた経験から車椅子の扱いにも慣れておられ、今回の企画のために三重県から来られました。ショウゴさんと同じく「ヨッセンスクール」で知り合った仲間。

めいたくさんのブログ: 『底辺×高さ×自分

ごりら

ごりら

わたしは車椅子には乗ったことも触れたことさえ記憶にありません。実はお手伝いは車椅子を扱えるめいたくさんだけで十分でしたが、無理やり参加させていただきました。

ぐれいすさんの協力で実現!
ぐれいすさんの協力で実現!

車椅子に乗る人の気持ちを知ろう!

車椅子の扱いになれているめいたくさんがぐれいすさんの乗る車椅子を押して、JR環状線「大阪城公園」駅の階段前からスタート。

「大阪城公園」駅前からスタート!
「大阪城公園」駅前からスタート!

街中に比べると人通りは少ないですが、この日は大阪城ホールで人気音楽グループのコンサートがあったため、ふだんよりはたくさんの人がいました。場所によっては行列の横を通過することもありましたが、めいたくさんは車椅子の扱いになれているので問題なく通過できました。

大阪城公園をゆっくりと移動しながら、ぐれいすさんが車椅子生活で困っていることなどを話してくれました。

背後から抜かされる怖さ

この日も実際に何度も同じような場面があったのですが、車椅子の後ろから「なにか」に追い抜かれていくことがよくあります。

車椅子に乗っていなくても後ろから「なにか」が迫ってくるのって怖いですが、ゆっくりと進む車椅子は抜かされる機会がとても多いです。なので、その分、恐怖を感じる回数も必然的に多くなってしまうんです。

週末の大阪城公園は人が多い
週末の大阪城公園は人が多い

しかも、車椅子に乗っているとすぐにうしろを振り返ることができません。自分の目で状況を確認することができないですから精神的な疲労も相当なものになるんですね。

自転車やクルマとすれ違う瞬間

大阪城公園の中なのでクルマとすれ違うことはありませんでしたが、自転車とすれ違う時には危険を感じる場面もありました。

わたしも実際に体験して驚いたんですが、車椅子のほんとうにすぐ横を自転車が通って行くんですね。もうちょっとで衝突しそうになるような距離です。

車椅子に乗っていると大人の目線よりもずいぶんと低い位置になるじゃないですか。なので、自転車やクルマがすぐそばを通って行くだけでも恐怖を感じる状態なんですよ。

車椅子からの目線は低い
車椅子からの目線は低い

もちろん前から来ている自転車は自分の前に車椅子に乗っている人がいるのは見えているんですよ。それでも特にスピードを落とすこともなく通り過ぎて行くんです。

ただ、もしも自分が自転車側の立場だったらスピードを落としているかと言われるとわたしは自信がありません。

ぐれいすさんの話を聞きながら車椅子側の立場で通り過ぎる自転車を見ていたので、スピードを落とさずに車椅子の横を通り過ぎる自転車に危険を感じることができたのかも知れません。

車椅子に乗っている人にとって道路は障害物だらけ

車椅子に乗っている人にとって危険なのはクルマや自転車だけではありません。

大阪城公園やそのまわりの道路を少し歩いただけなのに、車椅子に乗っている人あるいは車椅子を押している人にとって危険でハードな「障害物」がたくさんあったんです。

正直わたしは驚くことばかりでした。わたしたちがふだんの生活の中ではまったく何も感じないようなことでさえ、車椅子に乗っている人にはとんでもなくハードなことなんですね。

具体的に紹介していきますね。

坂道は危険でハード!

大阪城公園は車椅子でも通行しやすいように、いわゆる「バリアフリー」が施されているんだと思います。

ですが、これって「健常者から見たバリアフリー」なんだということを痛感しました。

例えば、この写真を見てください!

急な坂道は自走の車椅子では無理!
急な坂道は自走の車椅子では無理!

距離は短いですが、けっこう急な坂ですよね。この坂は自走の車椅子ではとうてい登れないですし、車椅子を押す人にとってもハードな坂です。

わたしは「この坂を車椅子でも上りやすいように整備すべきだ! 」とももちろん思います。

ですが、わたしがものすごく疑問に感じているポイントはこの坂ではなく、むしろこの坂にたどり着くまでの経路にあるんです。

この坂を「出口」だと仮定すると「入口」がどうなっていたのか。

なんと、入口はこうなっていたんです!

坂道はバックで進む
坂道はバックで進む

ちゃんと車椅子でも通行できるようにゆるやかなスロープになっていたんですよ!

ゆるやかなスロープを使って移動
ゆるやかなスロープを使って移動

ね!? こんなふうにスロープになっていたら車椅子でもあんしんして通行しようとするじゃないですか?

そう思って進んで行くと目の前にあの坂が現れるんですよ。車椅子の扱いになれていて力もあるめいたくさんが車椅子を押していたからそのまま坂を上りましたが、そうでなければ引き返さないといけません…。

だったら、反対側にわざわざゆるやかなスロープなんてつくらない方がマシじゃないですか??

「こんなもの」でさえ車椅子の障害になる!

わたしは車椅子を押した経験はありませんが、子どもが小さい時にはベビーカーを押していました。

おそらくベビーカーなら気にならなかったんじゃないかなと思うような段差でさえ、車椅子で通行する時には細心の注意をはらわないといけません。

例えば、こちらの写真の段差です。車両が通行できるように段差が低くなっている部分ですね。

1cmにも満たない段差
1cmにも満たない段差

こちらの写真も見てください。さっきの写真は段差を「下りる」場面で、こっちの写真は段差を「上がる」場面なんですね。

段差に上がる瞬間
段差に上がる瞬間

どうですか? どっちが下りているのか上がっているのか、パッと見ただけではわからないですよね? つまり「たったその程度の段差」なんです。

ですが、この段差が車椅子にとっては障害物になるんです!

舗装されているはずの道路も…

それでも大阪城公園の中はやはりきちんと整備されていて、車椅子でも通行しやすい道路だと思います。

こちらの写真は舗装されているはずの道路にとつぜんあらわれた障害物です。これは道路のすぐそばに植えられている木の根っこが舗装されている道路をデコボコにしてしまったんですね。

木の根っこで道がボコボコ
木の根っこで道がボコボコ

この障害物もめいたくさんは上手に車椅子をコントロールしながら通過して行きました。

デコボコに気をつけながら移動
デコボコに気をつけながら移動

長い横断歩道は恐怖でしかない!

大阪城公園を1周するのにどれぐらいの時間がかかるのかを検証した後、近くのカフェに移動しました。

大阪城公園の外に出ると当然のことながらクルマが走る車道があります。

車椅子に乗っている人、押している人にとってものすごい重圧となるのが長い横断歩道です。

長い横断歩道
長い横断歩道

横断歩道を渡っている途中で信号が赤になってしまうといけないので、中途半端な状態では渡らずにもう一度信号が青に変わるタイミングまで待ちました。

信号が変わってから横断を開始!

信号が変わってからスタート!
信号が変わってからスタート!

ですが、横断歩道を半分ぐらいまで渡ったところで信号が点滅しはじめました。ちょっと小走りをすればよゆうで渡り切れるタイミングですが、車椅子の場合はそういうわけにはいきません。

横断歩道の真ん中で青信号になるのを待ちました。

横断歩道の途中で赤に!
横断歩道の途中で赤に!

ぐれいすさんのお話では、長い横断歩道よりも危険なのが踏切ということでした。

踏切を通行する時にはレールの溝に車椅子のタイヤがはまってしまうことがあるそうです。踏切での事故はわたしも何度かニュースで見たことがありますが、いっしょに歩かせてもらって、その危険性が具体的にわかりました。

車椅子を押させてもらって気づいたこと

いっしょに大阪城公園を歩かせてもらっただけでも貴重な体験ができたと思っていましたが、ぐれいすさんのご厚意でわたしも車椅子を押させてもらいました。

大阪城公園の道路でも特に平らで危険が少なそうな場所です。

車椅子を押させてもらう
車椅子を押させてもらう

ちょっとした段差にも気をつけないといけないのは理解していたんですが、実際に車椅子を押させてもらうとそれは想像以上でした。

先ほどのような段差ではなく、気をつけないとこんな溝にさえも車椅子のタイヤがはさまってしまうんですよ…。

こんな溝にさえ注意が必要!
こんな溝にさえ注意が必要!

平らに見える道路も車椅子を押していると傾斜しているのがよくわかりますし、木の枝や石ころ…いや、道路のデザインのためのタイルにさえも気を配らないといけないんです。

わたしはこれまで車椅子を押した経験が無かったので、必要以上に力んでいたのかも知れませんが、ほんのちょっとの距離を押させてもらっただけで腕がめちゃくちゃ痛くなってしまいました。

自分自身の行動を見直そう…!!

大阪城公園を車椅子で1周する体験を共有させてもらい、実際に自分でも車椅子を押させてもらって感じたことは数え切れません。

車椅子に乗っている人のことを考えると1mmの段差さえない、ほんとうにフラットな道路をつくることができれば、それが一番なんだと思います。

ですが、そんなことは現実的ではありませんよね…。

なんの段差もない道路が一番…
なんの段差もない道路が一番…

じゃあ、自分はなにができるのか。

「1cmにも満たない段差」が車椅子に乗っている人にとっては障害物になるということは、逆に考えると車椅子に乗っている人が通行しやすいようにできることがいくらでもあるってことなんですよ。

道路では常に細心の注意をはらう!

これも大阪城公園の中で実際にあったことですが、あるお父さんが子どもの写真を撮るのに夢中になっていて、車椅子の存在に気がついていなかったんですね。わたしたちは少し立ち止まり、通行できるようになるまで待ちました。

その時「あ、目の前にいるのはわたし自身だな…」って思いました。

特に子どもといっしょにいる時は気を取られることが多いんですが、まわりに配慮ができるようにならないといけないなと痛感しました。

道路のゴミを拾う!

さすがにわたしは道路にポイ捨てをするようなことはしませんが、道路に落ちているゴミを見かけてもわざわざ拾ったりはしていません。

ですが、これからは道路に落ちているゴミを見つけたら拾おうと思います。

だって、1cmにも満たない段差が障害物になるんですよ? 例えば、ペットボトルが落ちていたとすれば車椅子にとってはとんでもない障害物になるんです。

ゴミが落ちていなければ車椅子の通行が少しでも安全になりますよね。

車椅子が少しでも安全に通行できる道に!
車椅子が少しでも安全に通行できる道に!

多目的トイレは使わない!

これは批判を覚悟で言います。

わたしはこれまで荷物を持っている時なんかに多目的トイレを使うことがありました。荷物を置く場所があるので楽だと思っていたんですね。

なんたる愚行…。

わたしがちょっと楽をしたために、もしかしたら車椅子の人が多目的トイレを使えなかったことがあったかも知れないと思うと申し訳ない気持ちでいっぱいになります…。アホすぎる…。

もう二度と自分が楽をするために多目的トイレは使いません。

この記事のまとめ

大阪城公園を1周する間にものすごくたくさんの「気づき」を得ることができました。自分自身の愚かな行動もふくめて。

物理的なバリアフリーにはどうしても限界があります。

なので、わたしたち一人ひとりがほんの少し気配りレベルを上げて、ほんとうの意味でのバリアフリーな世の中をつくれると良いですね。

今回の検証に参加したみなさんの記事です。それぞれの記事に独自の視点があるのでぜひご覧ください。

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車椅子の検証のあと、大阪城公園の近くにあるカフェでぐれいすさんが抱える「肢端紅痛症(したんこうつうしょう)」という難病やぐれいすさんが置かれている状況についてお話しいただきました。

こちらの記事もぜひご覧いただきたいです。希少難病を患う人にとって、この国にはあまりにも敵が多すぎるんです。